POPのアクセシビリティは、特定の人だけのためではなく、暗い売り場、急いでいるとき、眼鏡を忘れたときなど、さまざまな状況で情報を受け取りやすくする考え方です。文字を大きくするだけでなく、色だけに頼らない、短く具体的に書く、近づける位置に置くなど、複数の工夫を組み合わせましょう。
この記事では、高齢者を含む幅広い来店客に伝わりやすいPOPの作り方と、売り場での確認方法を解説します。
文字は大きさ・形・間隔を一緒に見る
読みやすさは、文字サイズだけでは決まりません。細すぎる線、装飾の多い書体、詰まった文字間、長い一行は、実寸で見ると読みにくいことがあります。見出しは短く、本文は適度に改行し、重要な条件を小さな注記だけに入れないようにします。
数字では、1、7、0などが見分けられるか、価格の桁や小数点が明確かを確認します。電話番号や営業時間は、意味のまとまりで区切ります。日本語では画数の多い漢字が小さくつぶれやすいため、簡単な言い換えができる場合は検討します。
書体を選ぶときは、画面上の印象ではなく、実際の用紙と掲示距離で確認します。詳しい選び方はPOP書体選びガイドも参考にしてください。
色だけで違いを伝えない
赤は注意、緑は利用可能というように、色だけへ意味を持たせると、照明や見え方によって区別できないことがあります。色に加えて、文字、記号、枠、形を組み合わせます。「利用可」「利用不可」と明記すれば、色がわからなくても判断できます。
| 避けたい伝え方 | 改善例 |
|---|---|
| 赤い商品のみ対象 | 対象商品に「対象」ラベルを付ける |
| 緑の矢印だけで進路を示す | 矢印に「受付はこちら」と添える |
| 淡い背景に細い文字 | 背景と文字の明暗差を大きくする |
| 写真の上へ文字を直接置く | 単色の文字背景や余白を設ける |
| 色違いだけの凡例 | 色と記号、名称を併記する |
反射するフィルムやガラス面では、十分な明暗差があっても文字が消えて見えることがあります。時間帯と見る方向を変えて確認します。配色の基本は、POP配色ガイドもあわせてご覧ください。
短く具体的な言葉で行動を示す
専門用語、社内略語、遠回しな表現は、内容を理解する負担を増やします。「所定の位置にてお待ちください」より、「番号が呼ばれるまで、この席でお待ちください」のように、誰が何をするかを具体的にします。
一文には一つの行動を入れ、手順が複数ある場合は番号付きの箇条書きにします。禁止事項だけを書くのではなく、代わりにできる行動も示します。「ここに置かないでください」に「荷物置き場をご利用ください」を添えれば、次の行動がわかります。
ピクトグラムやイラストは言葉を補えますが、絵だけで意味が一つに決まるとは限りません。短い文字を併記し、店舗独自の記号には凡例を付けます。音声での案内がある場所でも、聞き取りにくい人のために重要情報を文字で確認できるようにします。
同様に、詳しい説明をQRコードの先だけへ置かないようにします。スマートフォンを使わない人、通信しにくい人、操作中に両手を使えない人もいます。営業時間、価格、受付方法など、その場の判断に欠かせない情報はPOP上にも残し、QRコードは追加情報への手段として使います。
高さ・近づきやすさ・複数の見方を確認する
POPが読める位置にあっても、商品棚や什器へ近づけなければ役立ちません。通路に荷物やスタンドを置かず、車いすや歩行補助具を使う人も無理なく正面へ近づけるかを見ます。立った人の目線だけでなく、座った高さからも確認します。
点検では、次の問いを使います。
- 遠くから見出し、近くから詳細を読めるか
- 色がなくても対象と状態を区別できるか
- 読みにくい専門用語や長い一文がないか
- POPの前まで安全に近づけるか
- 照明の反射や棚の影で文字が消えないか
- スタッフへ質問する方法も示されているか
作成者は内容を知っているため、読めない部分も推測できます。原稿を見ていないスタッフに、最初に何が伝わったかを確認してもらいましょう。可能であれば、異なる年齢や身長の人から意見を集め、個人の感想を一つの正解にせず共通する問題を探します。
改善要望を受けたときは、その人の属性だけを理由にせず、どの位置で何が読めなかったかを確認します。原因を具体化すれば、文字、照明、位置、言葉のどこを直すべきか判断しやすくなります。
見やすいPOPは、情報を受け取る方法を一つに限定しません。無料の店舗POPメーカーで原稿を作り、文字、色、言葉、掲示位置の四つを売り場で確認してください。