POPの文字サイズは、用紙サイズだけでなく、お客さまが読む距離から決めます。手に取って読む説明と、通路を歩きながら見る案内に同じ文字サイズは使えません。まず最も遠くから伝える見出しを大きくし、近づいてから読む詳細と分けましょう。掲示高さも、作業者の目線ではなく、実際の売り場で見る方向に合わせます。
この記事では、見る距離を基準にした文字サイズの考え方と、実寸印刷で確かめる手順を紹介します。書体そのものの選び方は、POP書体選びガイドも参考にしてください。
文字サイズは「どこから読むか」で決める
最初に、POPを見つけてほしい位置へ立ちます。入口から見るのか、通路の曲がり角から見るのか、商品を手に取る直前に見るのかで距離が変わります。その位置から、見出し、商品名、価格、説明文のどこまで読める必要があるかを決めます。
遠くからすべてを読ませようとすると、情報を載せられません。遠距離では「何の案内か」がわかればよく、詳細は近づいた後に読める構成でも構いません。一枚の中で役割を分けるほか、通路用の案内と商品前の説明を別のPOPにする方法もあります。
文字の見え方は、書体の太さ、画数、文字間、背景との明暗差、照明でも変わります。同じポイント数でも書体によって実際の大きさは異なるため、画面表示だけで決定せず、必ず実寸で印刷します。
読むために使える時間も考えます。レジ待ちや待合席では数秒立ち止まって読めますが、入口や通路では歩きながら目に入ることが多くなります。通過する場所では見出しを短くし、詳しい条件や説明は、立ち止まっても安全な場所へ分けて掲示します。
場面別のサイズは試作の出発点にする
次の範囲は、実寸試作を始めるための目安です。読み手、書体、照明、用紙サイズによって調整が必要であり、数値だけで読みやすさを保証するものではありません。
| 見る場面 | 見出しの試作サイズ | 詳細文の試作サイズ | 情報の絞り方 |
|---|---|---|---|
| 手元・卓上で読む | 28〜40pt程度 | 14〜18pt程度 | 説明を短い段落に分ける |
| 商品棚の前で読む | 48〜72pt程度 | 20〜28pt程度 | 特徴を一つか二つに絞る |
| 通路から見つける | 72pt以上から試す | 詳細は商品前へ分ける | 商品名や方向を中心にする |
| 店頭から案内する | 用紙に入る最大級から試す | 近づいて読む情報だけ加える | 営業状況や取扱内容を優先する |
小さな注記が必要な内容でも、読めない大きさへ縮めて詰め込むのは避けます。文章を短くする、用紙を大きくする、複数枚へ分ける、近くに別の説明を置く、という順で解決を考えます。価格や利用条件など、判断に必要な情報だけ極端に小さくしないことも大切です。
掲示高さは視線と動作を基準にする
目の高さに置けば常に正解とは限りません。商品棚では商品と一緒に見られる高さ、待合では座った姿勢から見やすい高さ、受付では記入や会計の動作を妨げない高さが必要です。子ども連れや車いす利用者も訪れる場所では、一つの立ち位置だけで確認しないようにします。
また、高さだけでなく角度も重要です。低い棚に水平なPOPを置くと、立った位置から文字がつぶれて見えることがあります。高い位置のPOPは、照明が反射したり、棚のひさしで影になったりします。見る方向へ面を向けつつ、角が通路へ突き出さない固定方法を選びます。
安全設備、値札、商品名、扉や引き出しを隠していないかも確認します。頭上へ吊るす場合は、視認性だけで決めず、施設の設置ルールと落下防止を優先してください。
実寸印刷して売り場を歩いて確認する
完成前に、次の手順でテストします。
- 実際に使う用紙サイズへ等倍で印刷する
- 予定の位置へ仮留めする
- 最も遠い想定位置から近づく
- どの地点で見出しと詳細が読めたか記録する
- 左右の進行方向、立位と座位でも確認する
- 営業時に近い照明で、反射や影を見る
作成者は内容を覚えているため、文字を推測して読めてしまいます。可能なら原稿を見ていないスタッフに、「最初に何が見えたか」「どこで意味がわかったか」を確認してもらいます。読みにくい場合は、まず情報量を減らし、次に文字を大きくし、掲示位置と照明を調整します。
見る距離を先に決めれば、文字サイズと掲示高さを感覚だけで選ばずに済みます。無料の店舗POPメーカーで原稿を作ったら、実寸印刷した一枚を売り場へ置き、歩きながら最終確認しましょう。